ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「エドガー、本当にありがとう」
「ん? いきなりどうしたんだ?」

 うれしそうにしつつも、エドガーは少し戸惑った様子だ。

「今わたくしがここでこうしていられるのも、あの日エドガーがわたくしに会いに来てくれたからだって思ったの」
「アンドレア……」

 エドガーはシュナイダー家と取引のあった商会を、わざわざ私財を使って買い取った。
 それもアンドレアに会うためだけにだ。
 そして一生父と名乗りを上げられないと分かっていながら、アンドレアと子を()すことを快く引き受けてくれた。

「あのままシュナイダー家を出ないでいたら、エドガーはこの子を腕に抱くことすらできなかったでしょう? そんな残酷な未来を選ばなくてよかった。あの時、エドガーと生きる道を選んで本当によかった。エドガー、わたくしを愛してくれて……この子を授けてくれて……本当に、本当にありがとう……」

 目頭が熱くなり、胸の奥からどうしようもなく感謝がこみ上げてくる。
 見つめ合うエドガーもまた涙ぐんでいた。

「俺はアンドレアとこの子を、何があっても守り抜く。だからいつまでも俺のそばで笑っていてくれ」
「ええ、エドガー。約束よ」

 腕に抱く我が子ごと、エドガーに抱きしめられる。
 その温かさにアンドレアはしあわせを噛みしめた。

「というわけで、アンドレアはお諦めください」
「孫娘のしあわせのためだからのう。仕方がない、わしは潔く引くとするか」

 エドガーがほっと息をつく。
 それを見て、人が悪そうに祖父はにやりと笑った。

「だがアンドレア、気が変わったらすぐに言ってくれ。わしは気長に待っておるぞ」
「まぁ、光栄ですわ」
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