ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
「アンドレア……国王様も勘弁してください……」
「なぁに、アンドレアを繋ぎ止められるか、お主の踏ん張り次第であろう?」
「全身全霊をかけて頑張らせていただきますっ」

 エドガーの力一杯の宣誓に、赤ん坊がきゃっきゃとはしゃぎ出す。

「そうか、お前も父を応援してくれるか」
「ならば、次期国王としてこの子をもらい受けようかの。シュミット家の跡継ぎはまた作ればよかろう」
「もう、お爺様ったら。そんな物のように簡単に子供は作れませんわ」

 呆れながらも、アンドレアの中で夢が膨らんだ。

(もしも、もうひとり子供がいたら……)

 男の子だったら益々にぎやかに、女の子だったらシュミット家がもっと明るく華やかになるかもしれない。
 その()を嫁に出すときのエドガーの顔が浮かんでくる。
 あまりの情けない表情に、想像だというのにアンドレアはくすくすと笑ってしまった。

「アンドレア?」
「なんでもないわ、エドガー」

 次の子供を望んでいるなどと言ったら、またエドガーが面倒くさいことになりそうだ。

 そんなことを思って、アンドレアはそ知らぬ顔で微笑んだ。

(この先にどんな未来が待っているかは分からないけれど……)

 アンドレアは今、これまでと真逆の世界を生きている。
 愛する者に守られて、アンドレアもまた愛する者を守っていく。
 依存も自己犠牲もなく、互いを慈しみ思い合える。
 これからもそんな人生を歩んでいけるようにと、アンドレアは広がる未来へどこまでも思いを馳せた。




                    完






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