ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
 ライラも一緒に行くと言い張ったが、さすがのポールも却下した。
 見舞いに行けるのはアンドレアとポールが国王の孫だからこそ。王族の血を引かないライラが同行できるはずもなかった。
 嫉妬で酷い形相となったライラに見送られながら、アンドレアはポールとともに迎えの馬車に乗り込んだ。

(なんだか幸先不安な感じね……)

 向かいに座るポールは、ずっと不機嫌そうに押し黙っている。
 もしかすると緊張しているのかもしれない。国王然とした祖父の威圧感が、ポールは昔から苦手のようだった。
 だがアンドレアにとっては大好きな祖父だ。
 今は亡き母とともに会いに行くたび、やさしくしてくれた記憶しか残っていなかった。

(ポールがいては、お爺様に相談はできないわね……)

 落胆するも、アンドレアは見舞いに来られただけでもよしとすることにした。
 久しぶりに祖父に会える。そのことがうれしくてたまらない。
 王城について、通されたのは祖父の寝室だった。

(起き上がれないほどという噂は本当だったのね……)

 祖父ももう九十歳を越えている。届いた手紙もサイン以外は代筆だった。
 そのサインも頼りない筆跡で、分かってはいたがやはりショックに感じてしまう。

「国王の許しが出るまで寝台には近づかぬようお願いいたします」

 医師にそんな注意を受けてから、部屋の奥へと進む。
 ポールはなぜかアンドレアを先に行かせようとしてくる。
 そんなにも祖父が怖いのかと、アンドレアは半ば呆れてしまった。

 天蓋が降ろされ、祖父の姿はあまりよく見えない状態だった。
 薬か何かだろうか。嗅ぎ慣れない臭いが辺りに充満している。

「お爺様、お見舞いに上がりました」
「来たか……ポール、アンドレアよ……」
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