ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
 あとはポールがどれだけ許すかどうかだけだ。

「それだけあればきっとなんとかなるわね。あとは、そうね……見張りの侍女の目もあるし、アンドレアはこの家でエドガーと直接会わない方がいいと思うわ」
「でもそうしたら……」
「大丈夫。わたくしに任せてって言ったでしょう?」

 エリーゼはお得意のウィンクを飛ばしてくる。
 力強い味方の存在が、こんなにもアンドレアを奮い立たせてくれた。

 しかしいざ物事が進み出すと、アンドレアの中で急に不安が顔を覗かせてきた。
 自分ひとりだけなら覚悟もできる。
 だが一歩間違えば、エリーゼたちも破滅の道をたどる可能性だってあり得るからだ。

「エリーゼ……こんなことに巻き込んでしまって、本当にごめんなさい」
「何言ってるの、貴女が謝ることじゃないわ。アンドレアこそ被害者なのよ? もっと早くに逃げ出したってよかったくらいよ」
「でもわたくしは逃げたくないの」

 今アンドレアを支えているのは、あの日言われた祖父の言葉だった。

 まずはアンドレア、お前がしあわせになれ――。
 そのためには、このまま我慢を続けることも、ポールたちから逃げ出すことも、アンドレアは自分に許すわけにはいかなかった。 

「ええ、分かってる。こうなったら、徹底的にふたりに思い知らせてやりましょう?」
「ありがとう、エリーゼ」

 これからアンドレアが進む道は、決して穏やかなものではないだろう。
 だが、ここまで散々コケにされてきたのだ。

(そろそろ反撃したって許されますわよね? お爺様)

 これ以上、耐える理由はひとつもなかった。
 大切なものすべてを、この手で守ると決めたのだから。

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