ここまでコケにされたのだから、そろそろ反撃しても許されますわよね?
 これもアンドレアを見返すために必要なことだと、ポールはまっすぐ部屋へと戻ることにした。

(なに、産んでしまえばまた可愛いライラに戻るさ)

 そうすればすべてこれまで通りだ。
 以前のようにアンドレアに執務をすべてやらせて、自分とライラは贅沢に暮らせばいい。

(アンドレアがいきなり子ができたなどと言い出しときはどうなることかと思ったが……)

 領地経営の仕事が増えて今は面倒に感じるが、アンドレアがいなくても領政はきちんと回っている。

(やはり俺はやればできる男だ)

 それが証明されてポールは満足げに頷いた。
 子供のすり替えが終われば万事が上手くいく。
 あとしばらくの辛抱だと、身の回りの世話をする執事に上着を預け、ポールは自室の居間のソファに身を沈めた。

「ライラはどうしている?」
「夕刻から寝室に籠っておいでです」
「そうか」

(仕方ないな。少しは機嫌を取ってやるか)

 寝室を覗くと、ぐちゃぐちゃのリネンに包まったライラが、むくれた顔だけを覗かせていた。
 あどけない顔が愛らしく思えてくる。
 寝台の(ふち)に腰かけ、ポールはライラの頭をやさしく撫でた。

「どうした? また気持ちが悪いのか?」
「ライラがこんなにつらい思いしてるのに……お姉様ばっかりちやほやされて、ライラつまんない!」
「ライラばかりに我慢させてすまない。だがもう少しの辛抱だ」
「もう少しって、あと何か月もあるんでしょう? ずっとここに閉じ込められてるし、ライラだって自由に出かけたいわ」
「医師にも今は安静にするよう言われただろう? 俺の子のためだ。ライラも分かってくれるな?」

 諭すように言うと、ライラは渋々な感じで頷いた。
 黙り込んだところを見ると、あまり納得できてはいないようだ。

「そうだな……」

 ライラが喜びそうなことをと思って、ポールはいいことを考えついた。
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