お母さまは魔王さま! ~私が勇者をたおしてお母さまを守ります!~
「勇者はひどいの。一方的に魔族の国を占領しようとしたんだから。だから魔王であるお母さまが国を守ったのよ」
「お前は嘘を教えられたんだよ!」
グラントの叫びに、アシュリンは思わずポールの後ろに隠れる。
「嘘じゃないもん」
「大丈夫ですよ~。僕はわかってますからね~」
泣きそうなアシュリンの頭を優しく撫でてから、ポールはグラントをジト目で見る。
「子ども相手に怒鳴らないでくださいよ」
「お前はどっちの味方なんだよ」
うなるグラントの横で、マーリスは顎に手を当ててつぶやいた。
「……私たちの魔族への認識を改める必要があるな。話の通りなら、魔王と話し合いができるかもしれない」
「お前まで、なに惑わされてんだよ!」
「落ち着けグラント。家族を魔族に殺された恨みはわかるが、魔族のすべてが人間に害を及ぼすわけではないことはすでに実証されているだろう?」
「そんなきれいごとを言うのか!? 魔王を倒せと言われたお前が!? お前だって勇者である叔父を殺されて魔王が憎いんだろ!?」
「倒す方法は託されている。私の判断に従ってもらおう」
「そんなの従えるか、魔族は敵だぞ!」
「では、こう考えてくれ。彼女は魔王に対する人質だ。彼女と引き換えに平和条約を結べるだろう」
「人質は有効そうだな。本当に魔王の娘ならば」
グラントにじろりと見られ、アシュリンは不穏な気持ちになった。意味はわからなかったが、「人質」は良くない言葉のように思えた。
「君の住む城へ案内してくれないか。魔王と話し合いがしたい」
「でも……魔王を倒す勇者なんでしょ?」
アシュリンはマーリスと見たあと、ポールを見た。
「勇者っていうのはね、戦って倒す人だけを指して言うわけじゃないんですよ」
ポールが優しく言うと、アシュリンは頷く。
「……それ、お母さまも言ってた」
「じゃあ、案内してもらえますか?」
「うん」
アシュリンはポールに頷いて、周りを見回した。
「どうした?」
マーリスが訪ねると、アシュリンは眉毛を下げた。来るときに使った鏡の道は、そういえば一方通行だったのだ。
「おうちへの道、わかんない」
泣きそうなその声に、マーリスたちはあっけにとられた。
第一話 終
「お前は嘘を教えられたんだよ!」
グラントの叫びに、アシュリンは思わずポールの後ろに隠れる。
「嘘じゃないもん」
「大丈夫ですよ~。僕はわかってますからね~」
泣きそうなアシュリンの頭を優しく撫でてから、ポールはグラントをジト目で見る。
「子ども相手に怒鳴らないでくださいよ」
「お前はどっちの味方なんだよ」
うなるグラントの横で、マーリスは顎に手を当ててつぶやいた。
「……私たちの魔族への認識を改める必要があるな。話の通りなら、魔王と話し合いができるかもしれない」
「お前まで、なに惑わされてんだよ!」
「落ち着けグラント。家族を魔族に殺された恨みはわかるが、魔族のすべてが人間に害を及ぼすわけではないことはすでに実証されているだろう?」
「そんなきれいごとを言うのか!? 魔王を倒せと言われたお前が!? お前だって勇者である叔父を殺されて魔王が憎いんだろ!?」
「倒す方法は託されている。私の判断に従ってもらおう」
「そんなの従えるか、魔族は敵だぞ!」
「では、こう考えてくれ。彼女は魔王に対する人質だ。彼女と引き換えに平和条約を結べるだろう」
「人質は有効そうだな。本当に魔王の娘ならば」
グラントにじろりと見られ、アシュリンは不穏な気持ちになった。意味はわからなかったが、「人質」は良くない言葉のように思えた。
「君の住む城へ案内してくれないか。魔王と話し合いがしたい」
「でも……魔王を倒す勇者なんでしょ?」
アシュリンはマーリスと見たあと、ポールを見た。
「勇者っていうのはね、戦って倒す人だけを指して言うわけじゃないんですよ」
ポールが優しく言うと、アシュリンは頷く。
「……それ、お母さまも言ってた」
「じゃあ、案内してもらえますか?」
「うん」
アシュリンはポールに頷いて、周りを見回した。
「どうした?」
マーリスが訪ねると、アシュリンは眉毛を下げた。来るときに使った鏡の道は、そういえば一方通行だったのだ。
「おうちへの道、わかんない」
泣きそうなその声に、マーリスたちはあっけにとられた。
第一話 終


