お母さまは魔王さま! ~私が勇者をたおしてお母さまを守ります!~
「ゆうしゃがお母さまをたおそうとしているって聞いたから。お母さまはやさしいのよ。そりゃときどきこわいけど……でも、それはわたしがいけないことをしたときだけなの。だから、勇者をたおしてお母さまをまもるの!」
「ああ、なんて健気な!」
 感動したように魔術師が顔を覆って天を仰ぐ。

「お前はすぐ騙されるな。こんなの魔族の擬態だろ」
 グラントはアシュリンに剣を振るうが、それをマーリスの剣が弾いた。

「なにをする!」
「まだ事情聴取の最中だ。本当に魔王の娘ならば、もっと情報を引きだせる」
 アシュリンは一瞬のできごとにきょとんとしたあと、ふえ、と涙をこぼした。が、それはすぐに大号泣になる。
 幼いながらに自分が殺されかけたことがぼんやりとわかって、怖くて仕方がなかった。

「ああ、泣かないで、大丈夫ですから」
 ポールはおろおろとアシュリンを慰める。
「ほーら、虹ですよ~」
 魔術で小さな虹を出してアシュリンの気をひき、続いて花を出したりして慰める。
 ひとしきり泣いたアシュリンは、ポールが出してくれた兎のぬいぐるみを抱きしめてようやく泣き止んだ。

「お母さまは魔王さまなのかい?」
 ようやく再開されたマーリスの尋問に、アシュリンは頷く。
「すっごく強いのよ。前の勇者も倒したんだから!」

「そうか……やはり前の勇者は殺されていたのか……」
 マーリスはため息を零す。
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