逃亡した帝国の公女は2人の王子に溺愛される。
「孤児院ってそんなに甘い場所ではないわよ。思ったようなお家には行けるかわからないし、いじめや虐待にあったりもするのよ」
エレナ・アーデンが私のことを心配してくれているのが分かる。

人に心配されるとは、これ程に暖かい気持ちになれるものだったのかと知った。
「私は男を操れます。いじめや虐待をするのは女ですか?それでしたら、男を操ってその女をやつけます。カルマン公爵邸を出たのですから、もう私の力は隠す必要ないですよね。行きたい家庭の父親を操れば私はその家に行けるので、一番選択肢が多い場所です」

私が話す言葉に、彼女はどこか冷めた目になった。

「人に期待していないというより、人を道具のように見ているのね。魅了の力はそんなに万能ではないわ。純粋すぎる人間に使ったら相手の精神を殺すわよ。知能の高い人間なら、何かされたと気が付かれる恐れがある。できるだけ使うことは控えた方が良いわ。正体がバレてカルマン公爵邸に戻りたくないでしょ」

彼女のいう通り、あまり使うと周りに私の正体がバレてしまうかもしれない。
それにしても、カルマン公爵家の秘密の力は政敵のアーデン侯爵家にはバレバレなようだ。

アーデン侯爵家の人間には魅了の力が効かないと言われている。
アーデン侯爵は代々アカデミー主席卒業生がほとんどだ。

彼女の父親のレナード・アーデンももちろんアカデミー主席卒業生だ。
知能が高いから、魅了の力が効かないのかも知れない。

「あの、私の瞳の色で私の正体はバレませんか? 紫色の瞳が帝国の皇族の血が濃い証だなんて世界中誰でも知っています」
父はレオハード帝国の元第5皇子で紫色の瞳をしている。
元第3皇子が皇帝になって、父はカルマン公爵家の養子となり後継者となった。

私は自分の瞳の色が足枷になって、自由などないと思っていた。
いくら未来を夢見ても、皇族と子を作ることばかりを望まれる。

私だってまだ4歳の子供なのに生まれた時からこの瞳の色のせいでそんな事ばかり言われるのだからウンザリすしていた。
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