宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
夜が明けるその前に、クリスティーナは軋む体を慎重に起こした。隣で眠るアルベルトの顔を静かに見やる。
「わたくしの願いを、聞き届けてくれてありがとう……」
汗で張りついた前髪を指でかき分け、その寝顔に口づけた。
寝台から降り、クリスティーナは王女の顔になる。床に落ちたままだった夜着を身に着け、ショールを羽織り扉へと向かう。
アルベルトを残し、クリスティーナはひとり部屋を後にした。
閉められた扉の音を聞きながら、アルベルトは静かに瞳を開いた。天井を見上げながら、目の前に手を広げる。
この手は何もつかめない。愛しい女を抱いていた腕の中は、これからもずっと空っぽのままだ。
「――クリスティーナ」
僅かな名残を閉じ込めるように、アルベルトは手のひらをきつく握りしめた。
「わたくしの願いを、聞き届けてくれてありがとう……」
汗で張りついた前髪を指でかき分け、その寝顔に口づけた。
寝台から降り、クリスティーナは王女の顔になる。床に落ちたままだった夜着を身に着け、ショールを羽織り扉へと向かう。
アルベルトを残し、クリスティーナはひとり部屋を後にした。
閉められた扉の音を聞きながら、アルベルトは静かに瞳を開いた。天井を見上げながら、目の前に手を広げる。
この手は何もつかめない。愛しい女を抱いていた腕の中は、これからもずっと空っぽのままだ。
「――クリスティーナ」
僅かな名残を閉じ込めるように、アルベルトは手のひらをきつく握りしめた。