宿命の王女と身代わりの託宣 -龍の託宣4-
◇
「本当におもしろいものが見られたわね」
ころころと笑う王女にアルベルトが呆れた視線を向けた。
「一国の王女が他人の逢瀬をのぞき見するなど……悪趣味にもほどがあります」
「いいじゃない、ここは退屈でたまらないわ。なかなか手を出さないと思って見ていたけれど、公爵のあれはわざとでしょう?」
「何がわざとなのですか?」
ちょうど戻ってきたヘッダが不思議そうに問うと、クリスティーナは意味深に目を細める。
「公爵の話よ。あれは相当我慢しているわね。アルベルトが来た瞬間をわざわざ狙って口づけたのよ。そうでもしないと、自分を止められなくなるから」
「わたしには彼を止める自信はありませんね」
「それでも王女のわたくしに言われたら、さすがにやめざるを得ないでしょう?」
本当におかしい、そう言って王女は口元に手を当てた。
「それを笑うなど、一国の王女がすることですか」
「王女だろうとおもしろいものはおもしろいわ。アルベルト、あなたって本当につまらない男ね」
「従者におもしろみを求められても困ります」
動じた様子もなく、アルベルトはそっけなく言葉を返す。
「ほんと……つまらない男」
裏腹に口元に笑みを刻んで、クリスティーナはもう一度繰り返した。
「本当におもしろいものが見られたわね」
ころころと笑う王女にアルベルトが呆れた視線を向けた。
「一国の王女が他人の逢瀬をのぞき見するなど……悪趣味にもほどがあります」
「いいじゃない、ここは退屈でたまらないわ。なかなか手を出さないと思って見ていたけれど、公爵のあれはわざとでしょう?」
「何がわざとなのですか?」
ちょうど戻ってきたヘッダが不思議そうに問うと、クリスティーナは意味深に目を細める。
「公爵の話よ。あれは相当我慢しているわね。アルベルトが来た瞬間をわざわざ狙って口づけたのよ。そうでもしないと、自分を止められなくなるから」
「わたしには彼を止める自信はありませんね」
「それでも王女のわたくしに言われたら、さすがにやめざるを得ないでしょう?」
本当におかしい、そう言って王女は口元に手を当てた。
「それを笑うなど、一国の王女がすることですか」
「王女だろうとおもしろいものはおもしろいわ。アルベルト、あなたって本当につまらない男ね」
「従者におもしろみを求められても困ります」
動じた様子もなく、アルベルトはそっけなく言葉を返す。
「ほんと……つまらない男」
裏腹に口元に笑みを刻んで、クリスティーナはもう一度繰り返した。