可愛い後輩くんは、スポーツ系御曹司でした ~秘密のギャップで溺愛されています~
 一時間のレッスンはあっという間に終わってしまった。
 まだ顔はつけられていないが、水に対する恐怖心はだいぶ消えたし、いい運動になった。

(満足感があるレッスンだった……)

「お疲れさまでした!」

 蓮見(はすみ)くんがプールサイドから手をのばしてくれる。
 その手につかまり、私は一気に水から上がった。

(すごい力……!)

 (あらた)めて均整(きんせい)のとれた体に見とれてしまう。

(きた)え上げた人の体って本当に綺麗だな……)

「レッスン、どうでした?」

 声をかけられ、私はハッとした。

「あ、えっと、楽しかったです」
「よかった」

 蓮見くんがにこりと笑うと、タオルを渡してくれる。

「明日もお待ちしています。頑張りましょう!」
「はい……」

 どうやら気づかれていないようだ。
 だったらレッスンを続けてもいいかもしれない。

 私はちらっと蓮見くんを見た。
 濡れた髪をかき上げている蓮見くんは、いつものスーツ姿とはまた違う魅力に満ちていた。
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