継母に無能と罵られてきた伯爵令嬢ですが、可愛い弟のために政略結婚をいたします
 全て終わった。
 連行されるケリーアデルの姿を見てほっと胸を撫で下ろした直後、私は突然の脱力感から、その場で膝を折った。

 もう大丈夫。レドモンド家から継母を追い出せたの。セドリックの家を、私は守れたのよ。

 不思議な解放感に頭が朦朧としてきた。かと思えば、身体が鉛になったように重くなる。
 あぁ、あんなに空が青いというのに、それを見ているのも億劫だわ。

「ヴェルヘルミーナ!」
「お嬢様!」
「ミーナ姉様!」

 ヴィンセント様やダリアが私を呼んでいる。その中に、懐かしい声を聞いたような気がした。

 今、私をミーナと呼んだのは誰かしら。

 セドリックの声にとてもよく似ていた気がする。
 あぁ、ついに幻聴が聞こえるようになってしまったのね。帝国のお屋敷で勉学に励んでいるセドリックが、ここにいる訳がないのに。

 会いたい。セドリックに会いたい。

 あなたがいたから、私は今日まで頑張れたの。早く、会いたい──次第にぼやける視界の中、懐かしいさらさらの赤毛が揺れたように見えた。
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