6月25日、彼は。
「俺は運命を変えられたのかな」

「変えられたに決まっているでしょ! 絶対、私は珀人がいなかったら丹野くんの告白を秒でオッケーしてたもん!」

珀人の言いたい気持ちは分かる。

実際に丹野くんは12月25日に私に告白した。

何かが間違っていれば、私と丹野くんは付き合っていただろう。運命の強制力に私たちはまだ怯えているのかもしれない。

それでも運命を……決まっていた未来を変えられたことに価値があるはずだ。

それに……

「ねぇ、珀人。なんで私が丹野くんの告白を受けなかったと思う?」

「それは俺との約束が……」

「それもあるけれど一番は違います! 今、丹野くんと付き合ったら二股になるからです!」

珀人は何も言わずに俯いた。

それでも珀人の耳が真っ赤だから、俯いていても伝わる。

それだけで十分だった。
 
その日の月は満月じゃないのに堂々と光っているように見えて、「満月じゃなくても月って綺麗だな」と思ってしまう私がいた。
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