ふたりだけの夜
「なぁ⋯⋯このへんでやめておけよ。飲み過ぎだって」
尚はそう言って私からグラスを奪おうとする。
「大丈夫。もう少し飲まないと酔えないし」
アルコールに強い体質というのも善し悪しだ。
「だからって、そんなに飲んだら体に悪いってば。もう帰ろう」
週末で賑わう居酒屋。
尚は、さっさと会計を済ませ、私をズルズルと引っ張るように店を出る。
「今ならまだ終電に間に合うよ。アパートまで送るから」
気を遣ってくれているのだとしても、今の私にはそれが悲しい。
「帰りたくない⋯⋯」
「何言ってるんだよ。酔ってるだろ?まあ、あんなに飲めば、当然だろうけど」
まだ酔ってはいないはず。
それなのに、今の私は、自分でもちょっとどうかしていると思う。
地下鉄に揺られ、自宅が近付くほどに、酷く気が滅入る。
最寄り駅から10分ほど歩くと、もう私の部屋に着いてしまった。
「じゃあ⋯⋯おやすみ」
尚はそう言って私からグラスを奪おうとする。
「大丈夫。もう少し飲まないと酔えないし」
アルコールに強い体質というのも善し悪しだ。
「だからって、そんなに飲んだら体に悪いってば。もう帰ろう」
週末で賑わう居酒屋。
尚は、さっさと会計を済ませ、私をズルズルと引っ張るように店を出る。
「今ならまだ終電に間に合うよ。アパートまで送るから」
気を遣ってくれているのだとしても、今の私にはそれが悲しい。
「帰りたくない⋯⋯」
「何言ってるんだよ。酔ってるだろ?まあ、あんなに飲めば、当然だろうけど」
まだ酔ってはいないはず。
それなのに、今の私は、自分でもちょっとどうかしていると思う。
地下鉄に揺られ、自宅が近付くほどに、酷く気が滅入る。
最寄り駅から10分ほど歩くと、もう私の部屋に着いてしまった。
「じゃあ⋯⋯おやすみ」
< 1 / 20 >