憧れの御曹司と婚約しました。




 イベント当日、【morita】の周年記念は盛大に開催された。会場は都内の大きなコンベンションセンターで、【morita】の新車展示や技術発表のブースが並ぶ中、もこまるの特設ステージは子供から大人まで多くの人で賑わっていた。
 ステージの背景には、巨大なもこまるのバルーンがふわふわと浮かんでいて、私の心はすでに高揚していた。
 私はセツに選んでもらった淡いピンクのドレスを着て、胸元にはバレンタインもこまるをイメージした小さなブローチをつけていた。颯さんはいつものようにシャープなスーツ姿で、でも今日はネクタイに小さなもこまるのピンが光っていて、なんだかそれだけで親近感が湧いた。

 ステージに上がる前、楽屋で颯さんが私の肩に軽く手を置いた。


「緊張してる?」
「うん、少し」
「それでいい。君らしい気持ちで、楽しんでくれ」

 颯さんの笑顔に背中を押され、私は深呼吸してステージへ向かった。
 スポットライトが当たり、会場から拍手が響く。私はマイクを握り、颯さんと並んで立ちながら話し始めた。

「みなさん、こんにちは。【morita】の周年イベントにお越しいただき、ありがとうございます。私は高梨日和子と申します」

 会場がざわめき、期待の目が私に集まる。私は少しドキドキしながらも、もこまるへの愛を込めて言葉を続けた。

「この『バレンタインもこまる』は、愛と温かさをテーマにした特別な子なんです。ハート型のしっぽと、ふわふわのピンクのほっぺが愛らしいもこまるです」

 スクリーンにバレンタインもこまるのイラストが映し出されると、会場から歓声が上がった。子供たちが手を振ったり、大人たちがスマホで写真を撮ったりする姿を見て、私の緊張は一気に解けた。颯さんがそっと私の背中に手を添えて、続きを促してくれた。



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