憧れの御曹司と婚約しました。



 ***


 華道のお稽古が終わり、十六時半。
 私は月森家の個室で着物から洋服に着替えていた。着替えが終わりすぐにスマホを見ると新着メッセージありと表示されていたので確認すると兄からだった。
【駐車場にいる。いつでも待ってる】
 遅くなるって言っていたしゆっくりしちゃってたから少し驚いてしまって服を整え、髪も結われたものを解いて一つにまとめるとお師匠様である百合乃さんに声をかけてから月森家をでた。
 月森家の敷地内にある駐車場に向かうと、兄のプライベート用の車が見えた。私に気づくと、車から降りてきた。
「お疲れ、ひよ」
「お兄さまもお疲れ様でした」
「ありがとう、じゃあ行こうか。【もこまるCafe】に」
 車に乗り込むと、すぐに出発し三十分ほど走らせると目的地に到着した。それは綺麗な商業ビルの七階。数日前まではテナント募集となっていた階だったが今日からお店が入った。
 エレベーターの扉が開いて降りると【もこまるCafe】とふわふわした書体で書かれた看板があった。

「か、可愛い〜!!」
 足を踏み入れると、そこはとても可愛らしい空間……いや、幸せすぎる空間が広がっていた。
 
 
 
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