憧れの御曹司と婚約しました。




  数日後、颯さんの仕事部屋で、私は古いスケッチブックを手に取った。そこには、颯さんが子供時代に描いたもこまるの原型らしき絵が。ふわふわの丸いキャラに、「みんなを笑顔にしたい」と書かれたメモが添えられていた。私はそっとそのページを撫でながら、颯さんに尋ねた。


「颯さん、これ……もこまるの最初の絵?」

 颯さんがスケッチブックを覗き込み、少し照れくさそうに頷いた。

「そう。子供の頃、母さんが病気で落ち込んでた時期があってさ。なんか、ふわっとしたキャラで元気づけられたらなって思って描いたんだ。それがもこまるの始まり」

 その言葉に、私は胸がぎゅっと締め付けられた。私がもこまるを好きな理由も、どこか似ている。心が疲れたとき、嫌なことがあったとき、もこまるのふわふわした笑顔が、私をいつも癒してくれた。


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