婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!
「別に、謝っていただくようなことじゃございませんわ」

「だけど俺は、パートナーである君を守られなかったし……追いかけることもできなくて」

(まあ、そういう自覚はあったのですね)


 本当は声に出して嫌味を言いたい。けれど、そうすることすら面倒くさくて、ロゼッタはほんのりと視線を逸らした。


「怒っているだろう?」

「いいえ」


 そんな次元は疾うの昔に通り過ぎた。ロゼッタはふわりと微笑みを浮かべる。


「むしろ感謝をしております。ウィルバート様には色々と大事なことに気づかせていただきましたから」


 それじゃあ、と踵を返そうとするが、ウィルバートがロゼッタの腕を引く。それから、ロゼッタのことを抱きしめてきた。


< 276 / 318 >

この作品をシェア

pagetop