婚活令嬢ロゼッタは、なによりお金を愛している!
(だけど、行かなくては)


 部屋で黙ってうずくまっていても、出会いも進展もない。お金はロゼッタのもとに来てはくれない。ロゼッタがお金を愛するようには、お金はロゼッタを愛してくれないのだから。


 さあ、今日はどこに行って誰と出会おう? どんな手を使って男性との関係を深めよう? ……そう考えることがロゼッタの生きがいだった。楽しみだった。
 けれど、どうにも気持ちが上向かない。


(こんなことではダメよ。わたくしは、頑張らなければいけないのに)


 頑張らなければほしいものは手に入らない。
 わかっている。……わかってはいる。
 けれど、心も身体も思うようにならないのだ。

 もう頑張らなくてもいいのではないか? 諦めて、楽になってもいいのではないか? ……今のままでもいいのではないだろうか? そう言い訳したくなる。


『着るに困らず、雨風のしのげる家で眠ることができ、お腹を空かせることもない――それだけでも十分幸せなことだと思います。もちろん、数着に一着贅沢なドレスを持つとか、機能性のいい部屋に住むとか、たまの贅沢で高価な料理を食べること自体は否定しませんけど』

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