一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
「もちろん、ただで頼むつもりはない。」

聖さんは内ポケットから一枚の紙を取り出し、テーブルに置いた。

白い小切手。そこに書かれた数字を見て、思わず息をのむ。

「……百万円?」

「そうだ。君にとっては大金かもしれないが、僕にはそれだけ価値のある依頼だと思っている」

冷静な声。

まるでビジネスの取引を持ちかけるかのように淡々としていた。

胸の奥がざわつく。

百万円──それは父の借金の残りを返済できる額だった。

明日、明後日と働き続けても到底届かない金額が、今、目の前に提示されている。

「なぜ……私なんですか?」

震える声で問うと、聖さんは少しだけ目を細めて私を見つめた。

「理由は単純だ。君が真面目そうだったからだ。他の誰よりも信用できそうに思えた。」

胸が熱くなる。

冷たい瞳をしているのに、どこか真っ直ぐで揺るぎない視線。

小切手を前に、私は拳を握りしめた。

借金を返せるチャンス。

けれど、それは“一晩だけ妻になる”という契約の代償──。

答えを出さなければならなかった。
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