一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
「……ここでいいんだよね。」

待ち合わせ場所に着いた私は、目の前にそびえる大きなガラス張りのブティックを見上げ、ため息を漏らした。

煌めくショーウィンドウには、芸能人や海外セレブが身にまといそうなドレスが並んでいる。

どう考えても、私が足を踏み入れていい場所じゃない。

そのとき、建物の角から聖さんが歩いてきた。

スーツ姿で歩く姿は、街並みすら背景にしてしまうほど様になっている。

「どう? ちょっとは覗いてみた?」

軽く問いかける声に、私は慌てて首を振った。

「いえ……入れないですよ。私なんかが。」

聖さんはふっと微笑むと、何のためらいもなくガラスの扉を指さした。

「さあ、入ろう。」

そう言って背中を押される。

体が勝手に動き、足が店内に踏み込んだ瞬間、心の中で思わず叫んでいた。

(すごい……!)

壁一面にかけられた色とりどりのドレス。

深紅、群青、エメラルド、シルバー──どれも美しく、ため息が出るほど輝いている。

煌びやかな照明に照らされて、別世界に迷い込んだようだった。
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