一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
パーティー当日。

ホテルのエントランスに着いた瞬間、心臓が大きく跳ねた。

煌びやかなシャンデリアの光、豪華な車が次々と乗りつけ、タキシード姿の紳士と華やかなドレスの女性たちが笑みを浮かべて会場へ入っていく。

そんな非日常の光景の中、私は聖さんの隣に立っていた。

紺色のドレスの裾を指先でぎゅっと握りしめる。場違いな気がして、足がすくみそうだった。

「大丈夫?」
低い声が耳元に落ちてくる。

振り返れば、聖さんが自然に私の腰に手を添えていた。

その仕草はあまりに堂々としていて、私まで背筋が伸びる。

「……はい。頑張ります」

自分に言い聞かせるように答えると、聖さんはにこりともせず、ただ涼やかな眼差しで会場を見た。

赤い絨毯を二人並んで進む。

視線が一斉に注がれるのがわかる。

ざわめきが広がり、ひそひそとした声が耳に届いた。

(きっと、私なんかが聖さんの隣に立っているから……)

不安に押し潰されそうになるけれど、腰に添えられた彼の手の温もりが、不思議と勇気をくれた。
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