一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
ドレスと靴、そしてアクセサリーが入った袋を抱え、私は深々と頭を下げた。

「本当に……ありがとうございます」

これだけのものを一夜限りの契約のために揃えてもらうなんて、到底信じられない。

恐縮と感謝で胸がいっぱいになる。

聖さんはそんな私に、柔らかい声で言った。

「いや、妻になってくれるんだから、これくらいしないと。」

その言葉に、胸がじんと熱くなる。

契約のためだとわかっているのに、“妻”という言葉が甘く心に響いて離れなかった。

「本当に家まで送らなくて大丈夫?」

そう言って問いかける声も優しい。

「はい……気遣っていただいてありがとうございます」

小さく微笑んで答えると、聖さんは少し目を細め、なぜか私の髪に手を伸ばした。

スッと撫でられる感触に、体がびくりと震える。

「……じゃあ、当日。楽しみにしてるよ。」

低く囁くような声。

心臓が跳ね上がり、頬に熱がこみ上げる。

袋を抱えたまま言葉を失う私を残し、聖さんは車に乗り込んで去っていった。

(どうしよう……こんなに心が揺れてしまって)

残された私は、夜風の中でひとり胸を押さえていた。
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