嘘つきなあなたに、もう一度恋をしますか?~冷たい仮面の下の真実~

第19章 偽りの終焉

翌朝。
鳳条グループの本社に、不正の告発記事が駆け巡った。
「鳳条社長、取引先への違法供与」
「財閥間同盟の瓦解」

記者たちが殺到し、株価は急落。
社内に緊張が走る中、怜司は毅然と会見場に立った。

「事実無根だ。我々は一切不正をしていない」

強い声が響くが、押し寄せる報道の波は止まらない。
背後には、神宮寺家の影がちらついていた。



その頃、紗良は邸宅で父・雅臣と向き合っていた。
「お父さま、これは神宮寺家の仕業に違いありません」
「……そうだろうな」

父の表情には険しさが宿る。
「だが証拠がなければ動けん」

紗良は唇を噛み、握りしめた拳を震わせた。
(怜司さんをひとりで戦わせては駄目……私にできることがあるはず)



その夜。
紗良はひそかに神宮寺邸を訪れた。
玲奈が出迎え、驚いたように瞳を揺らす。

「まあ……奥さまがここに?」
「お願い。玲奈さん、真実を教えて」

玲奈の表情が一瞬固まる。
(父の命令に従えば、怜司さまは破滅する……でも――)

揺れる瞳。
玲奈は唇を強く噛んだ。



翌日。
怜司が記者会見で追い詰められている最中、会場の後方に立つ紗良の姿があった。
彼女の手には、一枚の書類。

「この不正は……神宮寺グループによる捏造です!」

声が響き渡り、会場が騒然とする。
玲奈が密かに託した証拠書類――父が仕組んだ虚偽の記録。
それが全てを覆した。



怜司の瞳が驚きに揺れ、やがて紗良を見つめる。
彼女は震える手でそれを差し出し、涙に濡れた声で言った。

「私は……もう逃げません。怜司さんを信じます」

怜司は一瞬だけ言葉を失い、そしてゆっくりと頷いた。
「……ありがとう、紗良」



神宮寺家の陰謀は暴かれ、虚構は崩れ去った。
偽りの鎖を断ち切った瞬間、夫婦を隔てていた壁もまた、静かに終焉を迎えていた。
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