Semisweet.
「…やっぱ、こんなん駄目じゃない?」

「菜穂の都合の良い様に扱えばいいんだよ。振られた傷俺なら癒せると思うけど。」

「…どういう意味?」

「癒され方くらいは自分で決めれば?好きにしていいなら好きにするけど。」


 そう言いながら机の上に置いていた私の手を掬って指先に軽く口付けてくる。

 唇が触れた部分が熱い。

 彼女いたとか何度か聞いた事はあるけど、この男、慣れてる。


「まずはハグでもしてみる?ストレス軽減効果とか幸福感アップとか色々あるって言うし。」

「ま、ってよ。そんな風に切り替えられるわけないでしょ!」

「やってみたら案外良いかもしんねぇじゃん。」


 そう言いながら瑞野は私の隣に移動してきて、少し強引に身体を抱き寄せられた。細身なのに思ったよりがっしりしていて、瑞野を初めて異性として意識してしまっている。

 まだ忘れられてる訳無いのに、胸の音がうるさくて仕方の無い事なのか、私がおかしいのか分からない。


「…小さすぎて抱き潰せそう。」

「そこまで貧弱じゃないんですけど。」


 瑞野の言葉にそうツッコむと、少し笑っている低い声は近くで聞こえてくるし、息は耳に当たる。


「…少しだけ顔上げてみ。」

「は?」


 瑞野に言われるがまま顔を上げて瑞野の方を見るとそのまま顔の角度を動かせない様に固定されて、唇を塞がれる。

 驚いて目を閉じる事すらも出来ない、何が起こったかも何も分からない。
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