Semisweet.
「嫌、では無かったんだよな…。」


 そう言いながら自身の唇に軽く指で触れる。

 むしろ久しぶりに少しときめきを得たぐらいで、慣れていない相手だから?

 瑞野が好きかどうかと聞かれたら、同期や友情としてはもちろん好きだと思う。

 恋愛的には正直分からない。昨日みたいな事が続いたら好きになれるのか。


─────そんなに結婚したいなら俺でも良いじゃん。


 いやいや、良くないだろ。

 付き合いは長いかもしれないけど恋人としての瑞野の事は全く知らないし、好きだとお互い思っていない。

 愛の無い結婚なんてしない方がマシだ。

 元カレにまだ愛なんてあった?と聞かれればそれはそれで確かに少し微妙だったかもしれないけど、一度でも好きになって付き合った人だ。

 瑞野よりは間違いなく愛はある。

 思ったより期間が短くて、人生の大事な選択を残り数か月で迫られている。


「そんなバカな話無くない…?」


 ぼそぼそと呟いていると頭の上に何か乗せられて、顔を上にあげると瑞野が缶のミルクティーを乗せてきていた。


「…あんた、何してんの。休憩まだでしょ。」

「厨房と打ち合わせしてきた所。しかめっ面して美人が勿体ない。」

「美人とか思っても無いでしょ。ミルクティー、私に?」


 お世辞を流しながらミルクティーに手を伸ばすとひょいっと避けられた。

 何がしたいんだこの男は。


「…来週月曜、休み被ってんだけどデート行かね?」

「…何の為に?」

「いざ公表しますってなったら思い出も何も無かったら困るじゃん?もし俺達が上手く行った時の事前準備。」

「本当あんたって…。事前準備な時点で思い出も何も無いよ。」


 そう言いながら溜息を吐く。

 なんてムードの無い言い方をするんだろう。

 言っている事は間違えていないのかもしれないけど、やる気は起きない。


「俺達が休み被る事なんて無いし、良くね?たまにはパッと身体動かしに行こ。」

「身体動かしに行く?どこに行くつもりなの?」

「天気良さそうだし、外でバドミントン?」

「外でバドミントン…?」


 瑞野はインドアだったイメージがあったけど、そんなの好きだったっけと首を傾げると目の前の男は何食わぬ顔をしている。

 本当に何を考えているのか頭の中を覗き込んでみたい。
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