Semisweet.
「俺からしたら関係ある。好きな女が泣いてるんだから、どうにかしたいって思わなかったら好きじゃないだろ。」

「私はすきじゃないから…!期待させて甘える所だけは甘えてって、そんな卑怯な女になりたくない!」

「俺が良いって言ってんのに、何が問題?」


 瑞野がそう私を甘やかす事くらい分かっていた。分かっていたから嫌だった。

 どうしたら私の事嫌いになってくれるんだろうってもはや考えるくらい。

 どうして瑞野の中に入り込む人が私だったんだろう。


「菜穂。」

「菜穂って呼ぶな、嫌。」

「今はまだ偽でも婚約者設定なので。」

「無理、婚約破棄だ。」

「こっちもそれは無理。」


 そんな子供みたいな言い合いをして、少し上にある瑞野の顔を睨みつける。

 瑞野はそのまま私の頬を掴んでまた昨日みたいにキスをしてくる。

 本当この男も、卑怯な男なのだった。
 そうすれば私が流されるって分かっているのだから。


「…帰らなかったの、本当はこうやって菜穂といる理由を作りたかっただけ。お帰りって出迎えられる生活悪くないなって思ってほしかったり。俺と何かをする事で、少しでも恋愛のトラウマ取り除いてあげられたらとか。」

「…恋愛はしないって言った。」

「俺が菜穂と恋愛したいから諦められない。菜穂の気が変わるまで何回でも甘やかすし、俺だけは傍に居るって証明するから。」


 絶対?何があっても、他に良いなと思う人が出来ても?
 信じたいのに、そんな疑惑が消えてくれない。
 まだずっとずっと臆病なままだ。
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