Semisweet.
「23になって菜穂が営業に来て、同じ同期なのに、先輩、色々教えて!って来る菜穂がすげぇなってちょっと思ったり。」

「何で?」

「俺は後輩とか思わなかったからかな。あくまで同期だったし、同じ営業になって菜穂には劣りたくないなって思ってた。俺達、夜も残業重なる事多くて、仕事としても尊敬してたけど、段々一緒に飲みに行ったりする内に菜穂の人柄も尊敬出来て、好きになってた。」

「…褒め過ぎ。」

「そんな事ねぇし。大分前、公園で好きになった理由なんて言って作ったことあったけどさ、俺は嘘じゃなかったんだよ。あの理由。作ったもんなんかじゃなくて、本音だった。」


 尊敬なんて、私にはもったいない言葉過ぎる。
 瑞野の気持ちが温かくて、照れくさい。

 それにそんなすぐに落ちたわけでもないけど、結果的に私も瑞野を好きになってしまったのだから段々と嘘では無くなっている。

 全て嘘から始まったはずなのに本当になっていて、どうしてこうなったかは私にも分からない。


「もう23の時からずっと菜穂しかいない。好きになった途端彼氏出来たは、どんな神様の悪戯かと思ったけど。」

「…私悪女?」

「悪い女だよ。今もずっと変わらずに。」


 あの時確かに営業になってすぐに健斗と交際した。

 それからずっと都合の良い存在として4年間無駄な時間を続けたけど、でも結婚できるならと思って何も考えずに振り回されていた。

 無駄にした4年間だったことは間違いないと思う。


「俺もこの4年間ずっと俺にしろって思い続けながら傍に居たんだよ。ごめんな。幸せを近くで喜んでやれる同期じゃなくて。」

「…バカじゃないの。4年間も。」


 これ以上瑞野の話を聞いていたら酔いが回りそう。

 財布を取り出して一万円札を取り出して「お勘定いいですか」とカウンター内の店員に声を掛ける。
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