Semisweet.
「飲み足りない。」

「1人で飲みな。私は帰る。」

「無理。菜穂の家で宅飲みしよう。」

「今のあんたなら襲ってきそうだから嫌。」


 間違いなく今日の瑞野は酔っている。

 このまま宅飲みなんてしたらどうぞ抱いてくださ~いと自分で襲われに行っている様なものだ。

 成人男性に本気で襲われたらきっと太刀打ちできないだろう。


「じゃあ俺の家は?だめ?」

「家がダメだろ。家が。もう、送ってってあげるから立って。タクシーに一緒に乗って帰ろう。」

「……菜穂の頭でっかち。」

「どういう悪口なのよ!それ!」


 酔って言葉に意味など持たない瑞野の頬を抓って、そのまま2人分の会計をした。

 今日はもともと私が奢る約束だったから、何も問題はない。

 問題と言えばむしろこの後、どうやってこの男を帰らせるかが問題なのである。

 お店から出てタクシーを捕まえて先に家が近い瑞野の家を経由する。

 その間も更に酔いが回ってきたのか瑞野は私の肩に頭を乗せて凭れ掛かっていた。

 酔ったら甘えん坊になるのはもう何度か見ているから驚きすらしない。

 ほろ酔い状態でいつも帰すのだけど、今日の瑞野の飲むペースが速くて止めるのが間に合わなかった。
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