Semisweet.
「と言うか、俺が考えたいのはこれからの事。結婚するって決めたし、期間も短いけど、これ。」


 そう言ってテーブルの上に出してきたのは、鍵だった。

 これがどこの鍵かなんて私に知る由も無いけれど、きっと…。


─────瑞野の家の鍵、だよね?


 このタイミングでこれを渡してくるのは、それしか考えられない。


「まずは同棲から始めて、お互いに深く知りたいなって。」

「…そう、だよね。」


 私達に残されたタイムリミットはそんなに長くない。
 普通のカップルと違うのだから、早く色々相性を見たり、お互いの生活について確かめたりするのならそりゃ同棲って話になる。

 もうそれなりの年齢だし進むことに抵抗は無いのだけど、私のだらしない部分などに幻滅されないかだけは少し不安だった。


「…私家事そんなにできないよ。」

「一緒にしたらいいじゃん。」

「でも結構口うるさいかも。」

「例えば?」

「脱いだ靴下そのままにするなとか。」

「菜穂の俺への偏見強すぎるだけじゃね?」


 それはそう。

 瑞野って良い意味でも悪い意味でも細かい事を気にしなくて、割と適当。

 だから楽な事もあるし、その反面、そこですれ違ったり意見がかみ合わず、私達はよく仕事でぶつかる。

 私は結構細かい事を気にして、一度健斗にそれで「そんな事気にして何になるの」と突き放された事もあった。

 同棲をした事は無いけど、またもや健斗の発言が軽いトラウマになっている。
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