Semisweet.
 そう話をした1週間後には、荷物を少しずつ運び出して瑞野の家に居た。


「頑張ろうと思えば簡単に引っ越せるもんだね。」

「だな、お疲れ。」


 そう言いながら合わせて取った休日の昼間に、缶ビールのタブを開けて軽くぶつける。

 もう会社には報告したし、住民票も移して、物も運び出して処分もした。

 シフトは1週間毎に作るので、事前申請さえ出来て予定の無い平日なら合わせるのは全く難しくない。

 缶ビールをグッと口の中に注ぎ込んで爽快なのど越しが最高だ。疲れた体に沁みる。

 今日からこの家で瑞野と同棲生活が始まると思ったら変な感じだ。


「変なの、男くせぇ部屋に女物がある。」

「彼女居たこと無いの?」

「人を童貞みたいな言い方やめてくんね?」

「そこまではしてないでしょうが。」

「同棲は初めてだな。」


 そう言いながら瑞野も自分の部屋を不思議そうに眺めている。

 2LDKの間取りの2人暮らしは充分なくらいだ。

 むしろ1人で2LDKは広すぎる。


「休日朝ごはん食べる派?」

「急に?私は、食べないでベッドでごろごろしてるかも。」

「俺も一緒。」


 そんな他愛の無い会話をしながら、それとなくお互いの価値観を合わせて行くのだ。

 友人として同期の瑞野の事は誰よりも知っているけど、恋人としての瑞野の事は、まだ分からないから。
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