Semisweet.
 それからちょうど翌週頃だったと思う。

 またもや”健斗襲来”は。
 もはや私は奴をモンスター扱いしている。

 フロントが騒がしくてたまたま事務所に居た私と匠が顔を見合わせて2人してもしかして、と思ったのだ。

 恐る恐るドアから覗き込むと、切れ散らかす健斗と冷静に対応する美佳子さんに、匠があれ?と指差していてうんうんと首を縦に振る。


「申し訳ございませんが、咲間は不在でございます。
それと、個人的なやりとりはこちらではお受けできませんので。」

「へぇ、そしたらこっちはそちらの営業の咲間って女にやられたことをネットで拡散するだけだけどな!ホテルの信用問題どうなるんだか。」


 私が出ようとした所を匠に防がれて代わりに匠が前に出た。

 何かを話していて怒る健斗を前に冷静に対応している匠の姿だけが見える。でも、何を話しているのか全く分からない。

 次第に健斗は大人しくなっていき、たった1分間ぐらいの間で大人しく帰って行ったのだ。

 何か魔法でも使ったのかと思いたくなる程の速さに、私は首を傾げる。

 匠が美佳子さんと何かを話すと、笑顔で匠がこちらに戻ってきて目線が交わった。


「な、何の話?」

「ん~?二股とかいろいろ勘違いしてたから、よくわからない。けど、防犯カメラに証拠残ってますし、脅迫罪になるのでこちらも然るべき場所に相談させていただきますねって言っといた。
そしたら大人しくなったから可愛い彼女を手放してくれてありがとうございます。って挨拶してきただけ。」


 顔が熱い。ちゃんと毅然とした態度で追い払っただけじゃなくて、そんな煽る様な事までしていたなんて。

 照れて何も言えなくなってしまう。
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