双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
朝食を終えて、早速、今晩の舞踏会に出席する準備をすることになった。
アリアドネが王宮を訪れた時に、採寸を済ませドレスを30着ほどオーダーしていたらしいのでその中の1つを着ることになる。
彼女と私は体型が似ているから、以前もそれらのドレスを着ていた。
朝食の時に、セルシオが赤い礼服を着ると言っていたから、私も色を彼に合わせるつもりだ。
舞踏会に出席したいということは、私から申し出た。
ルイス・パレーシアが婚約者と舞踏会に出席予定なのだ。
彼の婚約者であるレイリン・メダン公爵令嬢と接触して、帝国の狙いを聞き出せないかと考えた。
「本日から、アリアドネ様のお世話をさせて頂きます。メイドのマリナと申します。早速、入浴のお手伝いをさせて頂きます」
「よろしくね。マリナ! 私、かなり貴方を頼りにしてるわよ」
濃紺の髪に水色の瞳をしたマリナは以前も私の専属メイドだった。
彼女はとても話しやすくて、私は男女のアレコレを彼女から沢山教えてもらった。
「は、はい! 精一杯尽くさせて頂きます」
前回と違って入浴の際も手慣れた感じでいられた。
以前は体の隅々まで人に洗われることに慣れておらず、この時点で大騒ぎしてしまった。
(そういった情報も伝わって、私がアリアドネじゃないと露見していたのかも⋯⋯)
浴槽には薔薇の花びらが浮いていた。
パレーシア帝国で、ルイス皇子に献上する為に入浴させられたことを思い出した。
それにしても、婚約者がいながら私にあのような卑劣な事をしようとするなんて随分なクズ皇子だ。
ふと、自分の手を見るとアカギレだらけで、乾燥して粉まで吹いて酷いものだということに気がついた。
「マリナ、どうしよう。この手って右手だけでも綺麗にならないかしら?」
「両手とも香油を塗り込むのでスベスベにして見せます」
こんなボロボロの手を見て、セルシオがどう思ったか考えるだけで不安になる。現時点では私ばかりが彼を好きだ。
彼が前回いつ私を好きになってくれたかは全く分からなかった。
けれども、幻滅されるポイントは無くしておいた方が良いだろう。
(早くセルシオに私を好きになって欲しい!)
「大変! 5日後は初夜なんだけど、私の体って大丈夫? 変なところとかないよね? マリナの力で何とか仕上げて欲しいんだけど!」
私は5日後に初夜があることに気がついた。
同年代の女の子の体なんて見たことがないが、私の体は大丈夫なのだろうか。
「お美しいです。アリアドネ様! 私めが全力で仕上げさせて頂きます」
マリナは今世でも頼もしい。
それにしても、今から初夜のことを考えるなんて私は何てはしたない女なのだろう。実践こそしていないが、『絶倫皇子の夜伽シリーズ』であらゆる寝技を学んだので上手くやれるに違いない。
入浴を終え、コルセットを締めドレスに着替える。
「あれ?」
マリナが疑問の声を漏らすのが聞こえた。