双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

11.数日も待てずにカリンに手を出したな!

 しばらく近寄ってくる北西諸国の要人と会話していたが、カリンがどんな会話をレイリンとしているのかが気になって仕方がなかった。

 気がつけば僕は、バルコニーに続く扉を少し開け聞き耳を立てるような下品なマネをしていた。
 
 「セルシオ国王陛下が元奴隷ならば、私は今現在奴隷です。彼に囚われた愛の奴隷です。彼の為なら何でもできる⋯⋯自ら私は彼の奴隷に志願したんです」

 澄んだカリンの声で発せられた言葉が、まるで死刑宣告のように感じた。

 彼女はきっと男性経験がなかったのだろう。
 そして初めての相手であるセルシオ国王に囚われてしまっている。

 カリンのような恐ろしく魅力的な女が目の前に現れたら、普通の男なら手を出してしまうだろう。僕は昨晩その衝動を彼女を傷つけたくない一心で抑えたことを思い出していた。

(セルシオ・カルパシーノ⋯⋯数日も待てずにカリンに手を出したな!)

 
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