溺愛御曹司の秘密は私だけが知っている

第1章 危険な出会い

人は、出会った人としか恋愛をすることはできない。

だとしたら、私は彼と出会った事を感謝したい。


それは残業した夜の事だった。

突然の雨に降られ、私はそれに濡れるしかなかった。

濡れた服が肌にひっついて、やけに体温を奪わって行く。

「早く雨、止んでくれないかな。」

朝は雨の予報なんてなかったから、傘は持っていない。

でもどこかで雨宿りをする時間もない。

もう夜も遅いから、早く帰らないとゆっくり休む時間もない。

だが雨は無情にも強さを増し、私は一旦軒下に入る事にした。

バッグの中から、ハンカチを出して体を拭く。

もう今日着て来たカットソーは、雨に濡れてびっしょりだ。

「はあ、残業にはなるし、雨には降られるし。最悪の日。」

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