最強で、最孤


一方、瑠那は厳しい稽古のあと、足を引きずりながら帰路についていた。

皮がベリベリにむけて、マメが無数にある足を庇いながらも、胸の内はずっと揺れていた。

「本当は部活のみんなで勝ちたい。勝って喜びたい。その瞬間を味わいたい。でも、どうしても部活には戻れない」

彼女の心は、強さと孤独、そして自分自身への葛藤でいっぱいだった。

スマホがまた震えた。また白石からだと思ったら、今度は部長の詩織からだった。

《最後に一度、話さないか?》

瑠那は返信を迷いながらも、精一杯、指を動かした。

《わかった。》

その一言は、彼女にとっての小さな一歩でもあり、大きな一歩でもあった。
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