最強で、最孤
交錯する努力
中総体前日の稽古が終わり、道場の空気はどこか落ち着かないざわめきに包まれていた。
顧問がやってきて、団体戦の最終メンバーを発表する。
ホワイトボードにメンバーが書かれた紙が貼られた。
《先鋒:加藤 次鋒:佐伯 中堅:大島 副将:三宅 大将:黒瀬》
「明日の団体戦、大将は黒瀬だ」
顧問のその一言に、道場は静まり返った。
誰も異論はなかった。
いや、口にはしなくても、皆がそう思っていたのだ。
加藤がにやりと笑っていった。
「私がしっかり先鋒で良い流れ作るからさ、あとは任せたよ、大将」
瑠那は、力強く頷いた。
「絶対に、勝つ」
そのとき、白石は虚ろな目をしていた。
もともと、白石はメンバーに入っていたからだ。
でも、今は白石の名前がない。
彼女は立ち上がって瑠那の方へ歩いていった。
「1年生がこんな事言うの駄目って分かってます。
黒瀬先輩が戻ってきたから私、外された!!
私なりに、必死だった!先輩がいない間、誰よりも頑張っていたつもりだった...。」
声が震えている。
「なのに、強い人が戻ってきたからそのを出すって......それって......」
その場にいた誰もが、言葉を飲み込んだ。
瑠那は、少しだけ視線を落とし、静かに答えた。
「白石。あなたが頑張ってたの、私、見てたよ。すごいと思った。本当に」
「じゃあ、なんで......!」
「でもね、聞いて。勝つために必要なのは、“努力した人”じゃないの。“勝てる力を持った人”なの。中総体って、そういうこと。」
白石の顔に、悔しさと苦しさが混じる。
顧問がやってきて、団体戦の最終メンバーを発表する。
ホワイトボードにメンバーが書かれた紙が貼られた。
《先鋒:加藤 次鋒:佐伯 中堅:大島 副将:三宅 大将:黒瀬》
「明日の団体戦、大将は黒瀬だ」
顧問のその一言に、道場は静まり返った。
誰も異論はなかった。
いや、口にはしなくても、皆がそう思っていたのだ。
加藤がにやりと笑っていった。
「私がしっかり先鋒で良い流れ作るからさ、あとは任せたよ、大将」
瑠那は、力強く頷いた。
「絶対に、勝つ」
そのとき、白石は虚ろな目をしていた。
もともと、白石はメンバーに入っていたからだ。
でも、今は白石の名前がない。
彼女は立ち上がって瑠那の方へ歩いていった。
「1年生がこんな事言うの駄目って分かってます。
黒瀬先輩が戻ってきたから私、外された!!
私なりに、必死だった!先輩がいない間、誰よりも頑張っていたつもりだった...。」
声が震えている。
「なのに、強い人が戻ってきたからそのを出すって......それって......」
その場にいた誰もが、言葉を飲み込んだ。
瑠那は、少しだけ視線を落とし、静かに答えた。
「白石。あなたが頑張ってたの、私、見てたよ。すごいと思った。本当に」
「じゃあ、なんで......!」
「でもね、聞いて。勝つために必要なのは、“努力した人”じゃないの。“勝てる力を持った人”なの。中総体って、そういうこと。」
白石の顔に、悔しさと苦しさが混じる。