最強で、最孤
瑠那は強い。それは誰もが認めていた。

新人戦で彼女だけが県大会に進み、ベスト8に入ったとき、みんなで喜んだ。

でもそれは、喜びと同時に、部の現実を突きつけられる瞬間でもあった。

「瑠那ってさ、自分だけが強くて何が悪いのって感じするよね」

言葉には無数の(とげ)があった。

だが、誰も否定しなかった。いや、否定できなかった。

瑠那が部活に来ない今、剣道部はその大きな穴を埋められるはずもない。
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