キスは契約違反です!! ~年下御曹司と期間限定ルームシェア~
*プロローグ*
あなたは、たとえるなら、子犬みたいに可愛い後輩。
プレゼン資料のレイアウトを褒めたら、眦をくしゃっとして笑っていた。
だけど、今――私を見つめる彼はまるで別人みたい。
「俺が先輩を諦めれば、話を聞き入れてもらえますか?」
「俺は、不本意な見合い話を断るため。先輩は、新居を見つけるまでの仮住まい。ついでに、最低の元カレに俺を見せつける」
「利害一致の契約として、婚約者として一緒に暮らしましょう」
「ね、先輩。俺の、“契約上”の婚約者になってください」
「今日限り――俺は先輩を愛しませんから」
私に提示する声音は、世界と駆け引きする御曹司の余裕。
子犬みたいに可愛い後輩。
こんなに鋭い微笑みを、今までどこに隠していたのだろう。
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