Happily ever after
「片瀬さん、好きです。結婚を前提に付き合ってください」
あまりに自分に都合の良すぎる展開に、優子は頭が真っ白になった。
自分を見下ろす、俳優のように整った顔をじっと見返す。
山崎はどう見てもモテるタイプの男だ。
背はそこまで高くないが手足が長く均整の取れた体つきで、顔は文句無しに良い。ついでに声も良い。
性格も温厚で誠実、車や持ち物を見る限り相当稼いでいるのがわかるし、欠点を探す方が難しい。
そんな極上の男だからこそ、優子は不信感を抱いた。
「……信じらんない」
「え?」
「山崎さん、それ本当に恋愛感情ですか?私の境遇があまりに悲惨だから同情してるだけなのでは?」
「どういう意味ですか」
「哀れみと恋愛感情を履き違えてるんじゃないかなって。だって、どう見ても私は男受けするタイプじゃないもの。高学歴だから、気が強いから、顔が可愛くないから、色んな理由でフラれてきました。山崎さんみたいなモテるタイプの人が、私なんかに本気になるとは思えない。同情じゃないなら体目当て?一発やったら目、覚めますか?」
ドンッと派手な音がし、背中に冷たい感触が走る。
優子の両肩をがっちり掴んで支柱に押し付けながら、山崎は怒りを滲ませた声で答えた。
「片瀬さん、いくらなんでも失礼すぎます。同情?そんなもんで結婚前提なんて言葉出るわけねえだろ。それから、ワンナイト目的って思われるのも不愉快です。百発やろうが千発やろうが冷めませんから」
「じゃあ試します?することしても本当に冷めないか」
「良いですよ。本当はちゃんと返事を待ちたいけど、今の片瀬さんすげえムカつくから、抱き潰してから返事もらいます」