危険な隣人たち

四年生の冬――はじめての「好き」

少しずつ、教室の雰囲気が変わっていった。
男子も女子も、なにかと“好きな人”の話をするようになる。

その中で、ゆいにも“ときめき”が訪れた。

相手は、同じクラスの市川くん。
勉強が得意で、運動もできて、誰にでも優しい。
彼が落とした消しゴムを拾った瞬間、胸がきゅっと苦しくなった。

「……これが、“好き”ってやつなのかな……?」

自分でも驚いた。

竜也でも、飛鳥でもない男の子に、そんな気持ちを持ったことがなかったから。

その日から、ゆいは市川くんと少しだけ話すようになった。
給食を一緒に食べたり、グループ活動で同じチームになったり。

もちろん、それをあの二人が見逃すはずがなかった。
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