執拗に愛されて、愛して
 軽く溜息を吐いた後、立ち上がって着替えの準備をしてお風呂に向かう。

 別に雅が居ても居なくても、居ない者として扱えばいいのだから気にする事なんて無い。お風呂に入っている間に言われたことなんて忘れている。

 なんて思ってはいたけど、お風呂から上がった後は、居ない者どころか何故か丁寧に髪を乾かされていた。私はその間にスキンケアをしつつ、髪を乾かしている雅を鏡越しに見る。

 ちょっと伏せめがちの目にまつ毛が下向いてて格好良いなとか思ったりして、顔面優良児が私のお世話をしていると思うとたまらなく良い。

 鏡越しに雅の姿を見ていると、ふと雅も視線を上げて鏡越しに目が合う。


「なんつー顔してんの。」


 緩む表情筋を引き締めるためにキュッと口の端を結んだ顔をしていたら雅に突っ込まれた。

 ドライヤーを止めると、私の髪を少し掬っていつもの様にキスをする。この仕草は普段から時々している様な気がする。


「あんた、私の髪好きね?」

「うん、好き。」


 今の好きの言い方に思わずときめいてしまった。こんなことにもときめいてしまうなんて、最近の私は何かおかしい。本当に雅を好きになりかけているのだとしたら…、そんなの困る。
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