執拗に愛されて、愛して
「ねぇ、本当に度数低めにしてよ?酔ったら帰り方わかんなくなるでしょ。」

「そうなったら、俺が送ってってあげるじゃん。」

「勘弁して。」


 笑いながら話すとすぐにオレンジ色のカクテルが目の前に来る。縁にもオレンジがかかっていて、こんなオシャレで可愛いカクテルが出てくるなんて想像もしていなかった。


「え、可愛い。」


 色味が可愛くて、スマホを取り出し、記念に写真を撮る。きちんと撮れたか確認すると、間違いなくフォルダー内に保存されていた。

 それからようやくカクテルに口を付けると、爽やかな口当たりでかなり飲みやすい。約束通りアルコールも抑え気味で作られている。


「美味しい…。」

「柑橘系好きだったし、こういうのも好きでしょ。」


 私の反応に満足げにして、キッチン周りを綺麗に清掃している。

 そんなこと覚えているのも予想外だし…。そもそもフルーツ系が好きで、中でもオレンジとかみかんとか、グレープフルーツとか、柑橘系が好きだったのは間違いないけれど、とっくに忘れていると思っていた。果物系のお酒を好んで飲むことも雅くんはもしかしたら覚えていたのかもしれない。

 玲さんは他のお客さんの注文を聞きに行ったから、今この場は2人きりだった。雅くんも他のお客さんの対応には行かず、暇だからかここにずっといてくれている。2人になればさすがに気まずいかと思ったが、まったく気まずさは無く楽しく会話が出来ている。


「ここ何時まで?」

「1時まで、だけど常連とか来て盛り上がってたら何時まででも開けてる。」


 そう答えながら煙草を取り出して口に咥えると、煙草に火をつけている。本日既に2本目を見ているので、かなりのヘビースモーカーな気がした。

 私自身あまり煙草は好まないが、雅くんの煙草を吸う仕草を見ているのは昔から嫌いじゃなかった。理由はそんな姿が大人に見えて格好良かったなんて、本当単純で間抜けな考えをしていたのだけれど…。

 大学当時から私が知っている周りの男子より大人びていて、本当に格好良くて、久しぶりに見た今でも顔が良いからグッと胸を掴まれた感覚に陥る。


 …もちろん冷静にならなければの話だけども。

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