執拗に愛されて、愛して
「玲くんは癒やし顔よね。」


 何より笑顔が柔らかくて素敵だし、見ていると癒されるという感じだ。まだ出会ったばかりだし、私に対して客としてまだ扱ってくれているだろうから、営業向けの顔かもしれないけれど、優しそうだし包容力ありそうな…、安心感がある。

 今の雅は癒やしというより、どちらかと言えば危険な感じかもしれない。遊び人で、色々と悪い事を教えられそうで、一途に愛してくれなさそうな感じ。私の好きなポイントとしては、まず黒髪なのが最高だし、左目にある涙黒子も良いし、ピアスや指輪とかアクセサリーを付けているけれどシンプルな物でも似合うのが良い。少したれ目で、普段の雰囲気が気だるげなのも近寄りがたいが、私にとっては刺さる。

 本当にタイプの違うイケメンが2人も居るので、両方楽しめるこのバーは最高である。1回入れば、女性だとあの顔に捕まって常連になるしか道が無い気がする。

 そう考え事をしていると雅が顔を顰めて「何、玲のがタイプとか言う?3年も付き合っといて」と、少し不機嫌そうに言っていた。


「玲くんは格好いいよ。でも、あんたもお世辞抜きで格好いい。」

「どっちがタイプかって聞いてんのに。」


 今ここで『雅の顔がタイプ』なんて答えて、変な誤解をされたくない。顔は好きだけど、今の雅とは絶対付き合いたくない。

 先程説明したとおり、交際しても一途に愛してくれないから浮気されそうだし、こんな男と交際しても幸せになれる未来が見えない。女性好き、お酒好き、煙草好き、こんな男好きになっても碌な事が無い。


「もういいわよ、まだ1人のお客様他にも居るし、そっちの対応行ったら?」

「行かないよ、久しぶりに会えたし。このまま帰したくないし。」

「やだ、帰してよ。」


 雅の冗談に笑い、それから腕時計を見る。来てからしばらく経っているし、アルコールが少し回ってほろ酔いになってきた。今日はこのまま帰ったら良い感じに眠れそう。

 それに再会してすぐは気まずくなってきたが、徐々に本調子で外せるようになって、このまま気軽に話せる友人に慣れそうなことに安堵もしていたのだ。アルコールも相まって気分が良い。
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