執拗に愛されて、愛して
 引っ越し作業を終えて落ち着いた週末、いつも通りバーに飲みに来ていた。今日は雅がカウンターの外でお客と談笑していて、玲くんが私の相手をしてくれている。


「同棲どう?」

「うーん、最近頻繁に家に雅がいたからあまり何も変わらないんだけどね。自分の家に男性の物があるの変だなって思うくらい。」

「うまくやられたよね夏帆ちゃん。」


 玲くんにそう笑われて、意味が理解できず首を傾げた。


「どういう意味?」

「雅のあれ、わざとでしょ。家に上がり込んで同棲に持ち込んだの。」

「…いや、さすがにそれは…。」


 ないでしょと言おうとしたところで、今までの雅のことを考えればありえそうだと思ってしまった。じわじわと囲ってきて、気付いたら逃げられないようにされている。さすがにそこまで考えてぞっとした。


「…別れるなら今よね。まだ間に合う?」

「いや、手遅れなんじゃない?」

「玲くんってば、面白い冗談…。」

「全然冗談言ったつもりないけど。」


 もう諦めなと言われている様で、玲くんはこれ以上相手にしてくれなかった。

 今更別れたいとかはないけど、どうしてあんな男に捕まってしまったのかとは思う。再会したあの日からどうしてこうなってしまったのか。
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