執拗に愛されて、愛して
「でも、今も忙しいのにさ、夏帆ちゃんが戻ってきて昇進したら更に忙しくなっちゃうんじゃない?」

「そうなのよね。忙しいのは今はセーブしたいけど、それでも期待される事はすごく光栄だし、仕事も好きだから頑張りたいなって気持ちの方が強いのよね。」

「夏帆ちゃんらしいね。」


 お陰で給料も一緒に入社した同期よりは少し多めに頂いているし、期待されればされる程大きな仕事を任せてもらえるから、やりがいも維持できる。

 最初から昇進にこだわっていたわけでは無いけれど、女性だからと昇格を遠のかせるのではなく、きちんと判断して平等にチャンスをくれる会社に貢献したいという気持ちもあった。


「婚期遅れてくな。」

「何で彼氏から言われなきゃいけないのよ。はっ倒すわよ。」


 鼻で笑う雅にそう言うと、私のグラスの中の飲み物が無くなると同時に、いつものオレンジカクテルが出てきた。この飲み物もしばらく飲めなくなると思うと、少し寂しい。こうして簡単に会いに来て、3人で話せなくなることも。


「お酒を作る腕は良いし、顔も良いし、愛想も良いし、悪いのは性格だけね…。」

「殴られたい?」


 とても素晴らしい笑顔でDV宣言。警察の方、この女泣かせ犯罪者予備軍の男を今すぐ捕まえてください。

 女を簡単に殴りそうな顔をしている辺り、顔で証拠にならないかなんて馬鹿な事を考えながら軽く溜息を吐く。
< 161 / 331 >

この作品をシェア

pagetop