執拗に愛されて、愛して
「堤くんありがとう。相談出来て良かった。あの男の態度には今も腹が立っているのは間違いないけれど、私も悪かったってちゃんとわかった。」

「話を聞いていると彼氏さんも不器用な方ですね。」

「…そうかも。」


 確かに、器用そうに見えてかなり不器用なのかもしれない。素直に言葉で気持ちを言えず、皮肉効いた言葉で伝えてきたのだから。

 だけど私は不器用な男なんて言葉で許してやるつもりはない。今日は早く仕事を終わらせて、奴に電話を掛けて文句を言ってやると決めた。

 文句を言って、どうせ雅も言ってくるから聞いて、喧嘩してお互い思い合っている事を伝えあって…、早く仲直りがしたい。いつまでも誤解させて、不安にさせたままじゃ嫌だから。


「ちゃんと話さなきゃ。今日くらいは早く帰っても許されるかしらね。」

「そんなの当然ですよ。むしろ働きすぎなので彼氏さんと喧嘩しなくても休んでください。」

「ありがとう。」


 喧嘩しなければ今日も残って仕事をするつもりだったのは堤くんに見透かされていた様で、少し呆れられている。

 私がこんな風に喧嘩くらいで仕事よりも話し合いを優先する日がくるなんて思っていなかった。
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