執拗に愛されて、愛して
「にしても私達ってどこまでも天候に恵まれないわよね。大学時代の事覚えてる?」

「年末年始、怒涛の忙しさを乗り越えて30日ようやく会えるってなったら雪が大荒れで新幹線運休になったやつな。」

「そう。その時会うのめちゃくちゃ久しぶりで、っていう時だったのに、手段がなくて軽く喧嘩したのよね。」

「よく覚えてんな。」

「いや、何でこんなに天気に邪魔されちゃうんだろうって思っただけ。」

「あれじゃん?天気も俺達が会うなら盛り上げようとして、テンション上がりすぎちゃったんじゃん?」

「何言ってんのあんた?」


 わけのわからないことを言っている雅の前にアイスコーヒーを置いて、冷静にツッコむ。

 テンション上がりすぎて会えなくさせてしまっては本末転倒でしょうが。と、思うけど当時の事はあまり雅も思い出したくはないらしく、既に目線は飲み物の方へと向いて手を付けていた。

 これがきっかけですれ違いだしたのだから、確かにいい思い出ではない。


「正直あの頃と今は何もかも違うだろ。ガキでいろいろと余裕がなかったあの時と、今は金もあるし手段もあるから、なんとかなる。だから乗り越えられるんだと思う。」

「…もし今回久しぶりで雅に車がなくて会う手段がなかったら、また別れてたかな。」

「いや、休み明けに時間取って会ってたんじゃん?今の俺らなら。」


 子供の時は確かに現実的な問題が大きくて対処できないこともたくさんあったから、雅の言っていることがよくわかる。
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