執拗に愛されて、愛して
 ショッピングモールに到着すると、自分の服を軽く見て回った後、メンズ服のショップも見ていた。というか、自分の服よりも雅の服を選んでいる時間の方が長かった。

 服を雅の身体に重ね合わせて「んー…、これもいいかも…」なんて言いながら唸りながら選んでいると、雅は心底うんざりしているという表情だった。


「おい。」

「ねぇ、これとこれどっちが好き?」

「どっちでもいい。じゃなくて、おいって。」

「そうよね。どっちも買えばいいわよね…。」

「聞いてる?てか、聞こえてんのか。面食い女。」


 自分の服を見ていた時間は15分程で2着買っただけだったが、あれこれ1時間程雅を何店舗も連れ回していた。

 そんな状態を続けていると、雅は眉を顰めて若干うんざりしている様な表情を見せている。


「夏帆さ~ん?これ俺の服選んでんだよね?自分の服じゃないよね?」

「うるさい。これがストレス発散方法なんだから黙って立ってなさい。」

「本当何なのこいつ。」


 そう言いながら溜息を吐いて、ようやく私に何を言っても無駄だと理解したのか、黙っていた。


「流石にここ出たら荷物車に置いて、飲み物でも飲みに行かね?いい加減疲れた。」

「体力無いのね?おじさんだから?」

「黙らせんぞ。こっちは昨日朝4時に帰ってきて寝不足なの。てめぇのせいでな。」

「大学生の頃は、オールして大学行ってたのにね…。年を取るって悲しいわね。」


 そう煽る私の頬をぎゅっと片手で掴んで「黙らせられたい?」と良い笑顔で言っていて、流石にその発言には私も恐怖してふるふると首を横に振った。


 こいつが言うと洒落に聞こえない。
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