執拗に愛されて、愛して
 仕事でもそんな小さなジレンマに襲われつつ、今日は金曜日で翌日休みなので、雅に誘われた通りバーに顔を出す。

 少しだけ残業して、遅くなった頃にお店に入ると、店内は週末な事もあって混みあっていた。空いているカウンター席に着くと後ろから「いらっしゃい、夏帆ちゃん」と声を掛けられる。


「玲くん!忙しそうだね。」

「忙しいけど、大丈夫だよ。お疲れ様。」


 本当この優しい笑顔に癒されている。ここのバーは玲くんのお店で、雅と2人で回しているのだけど、この2人の顔面偏差値の高さから女性客が多い。だけど、純粋にバーが落ち着く雰囲気のお店なので、カップルで利用する方も私達より少し大人の方も多くいる。老若男女に愛されているお店だ。


「何飲む?というか、雅呼ぼうか?俺が作っても平気?」

「ん、お願い。雅は何してるの?」

「あそこ、お客様に気に入られてダーツしてる。」


 ふとそっちに視線を向けると、笑顔でそのお客様と話しながらダーツを投げていた。その姿も様になっていて格好いい。しばらく見ていると、女性客と楽しそうにハイタッチしたりしているのを見て、ふと顔を背けた。


「玲くん、ジントニックがいい。」

「…似た者同士だよね。2人。」

「何?」

「いいえ、何でも?」


 玲くんが何を言いたいのかは理解出来なかったけど、別に客とのハイタッチ程度で気になんかしない。
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